がん研究者小林久隆さんが開発した光免疫療法。仕組みや対象のがんは?

 
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「がん光免疫療法」という新しいがん治療方法をご存知でしょうか。

がんの治療は基本的に3種類あります。

・手術療法
・化学療法(抗がん剤)
・放射線療法

昔は手術ががん治療の中心でしたが、新薬の開発や技術の向上により現在は化学療法や放射線療法の効果も非常に高まっています。

ただ、手術の場合は体に傷を負うことになります。

体力がないと手術を乗り切ることが難しいと判断されることもあります。

化学療法の場合、薬ががん細胞を攻撃してくれますが、問題のない正常な細胞も攻撃してしまい、副作用があらわれることがあります(薬によって副作用があまり起こらないものもあります)。

光免疫療法は、このどれにも当てはまらない新しい治療方法です。

開発者は小林久隆さんという方です。

光免疫療法とはどのような治療法なのか、日本では現在行われているのか、対象は何がんか調べてみました。

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小林久隆さんとは

小林さんは、京都大学医学部を卒業後、放射線科医となりがん患者さんを見ていきました。

がん患者さんは、手術をした後に化学療法を行ったり、化学療法と放射線療法を並行して行うなど、いくつかの方法を行うことが多いです。

治療で見ていった患者さんは、どうしても治療による副作用で苦しむ方が多くいました。

そのため、自身で新しいがん治療について研究することを決め、アメリカに渡りました。

小林さんが求める治療方法は、「正常細胞は傷つけず、がん細胞だけをやっつける方法を探す」という方法でした。

光免疫療法

光免疫療法は、吐き気や毛が抜けるなどの副作用が極めて少なく、がん細胞だけを攻撃する療法です。

どのような仕組みなのでしょうか。

治療の流れ

まず、治療の流れは以下のようになります。

1.青い液体の薬を患者に点滴または注射投与(点滴は約2時間)
2.1日後に近赤外光(赤い光)を5~10分当てる

以上で終わりです。

これだけ!?という印象ですね。

入院の必要はないとのこと、時間も長くかかりません。

青い薬は、がん細胞だけにくっつくという性質があるもので、がん細胞に青い薬の成分がくっついた状態で翌日近赤外光を当てると、薬が反応し、がん細胞が破裂します。

薬の仕組み

この、がん細胞にだけくっつくという仕組みは、体の中の「抗体」というものの性質を使っています。

抗体とは、私たちの体の中にあるものです。

例えばある菌が体内に入ってきたとき、私たちは必ず体調が悪くなるわけではありません。

それは、入ってきた菌を食べてくれるマクロファージというものがいて、菌をなくしてくれるからです。

ただマクロファージは菌を食べずにスルーすることがあります。

このまま菌が体内で元気なままでは体の具合が悪くなってしまいます。

そこで重要となるのが抗体で、その菌にくっつく抗体が体内でつくられます。

なぜ抗体が菌にくっつく必要があるのかというと、菌に抗体がくっつくと好中球というマクロファージとは別の菌を食べる存在が、積極的に菌を食べるようになるからです。

好中球から見て、抗体は菌を「おいしい味付け」をした状態にするのです。

 

抗体を簡単に言うと以上のような働きをします。

抗体=決まった相手にだけくっつく物質(タンパク質)ということです。


(引用:毎日新聞<https://mainichi.jp/articles/20180112/k00/00e/040/343000d>)

光免疫療法は、この抗体の性質を利用しています。

その抗体に、近赤外線を当てると化学反応を起こす物質をつけたものが先ほどの青い薬です。

抗体はがん細胞に届いてくっつき、そこに近赤外線の光を当てると化学反応を起こしてがん細胞を破壊します。

ちなみに近赤外光とはテレビのリモコンにも使われているもので、人の体に害はありません。

いつから、何がんの治療で扱われるのか

日本では光免疫療法は治験(臨床試験)段階です。

国内最初の治験は、2018年3月から国立がん研究センター東病院で始まります。

対象は再発頭頸(とうけい)部がん患者です。

アメリカでは2015年から治験を始めており、再発した舌がん、咽頭(いんとう)がんなど頭頸部がん患者を対象に行っています。

その時の治験結果からは安全であると判断されていて、次の効果を調べる段階に進んでいます。

公表されているデータによると、合計15人の患者のうち14人のがんが縮小し、そのうち7人はがんが消失したとのことです。

 

ただ、今までにはない仕組みの薬、治療方法なので、わからないことはまだ多くあります。

まとめ

医療の進歩で、抗がん剤でも現在は副作用の少ない種類のものも開発されてきました。

ですが、がん治療の過程で苦しい思いをする方もまだいらっしゃいます。

冒頭にあげた3種類以外の画期的な治療法が生まれることは、これからのがんの治療がさらに開ける素晴らしいことです。

今後、光免疫療法の治験結果に注目していきたいと思います。

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